フランス滞在記 その2)

バスが来るのを待っていたとき、スイスから来たマッファルダという女性が私に声をかけてきた。私たち講習生はこのバスに乗る予定の生徒名簿を、メールで送られていたので、まず、唯一アジア系のわたしを捜し当てるのは簡単だろう。こうして少しずつ名乗り出た講習生4人と知り合った。

バスの客は予定どうり全員、途中で降ろされ、バスで知り合った人たちと”Bon courage pour le reste du chemin (残り道、頑張ってね)!” と言い合って別れた。私たち5人は迎えの車が来るまで、バス停の中は暑いので日陰を選んで地べたに座って待つことにした。そんな私たちを見て、人なつっ子そうに近寄って来た女性がいた。彼女は典型的な北欧の血の混じった金髪の痩せた40代位の女性で、その日焼けした顔には、前歯が一本抜けていて、着古したワンピースとごちゃごちゃといくつかのスーパーの袋をぶら下げている風体は、一見、浮浪者を思わせるところがあった。彼女はちょうどマッファルダが私に話し掛けお互いに紹介しあっている最中、あの人のよさそうな笑みを浮かべて近ついて来たのだ。あっという間に、どういうわけか彼女の話しを聞くハメになってしまった。わたしは最初戸惑ったが、マッファルダがおとなしく聞いているので、わたしも覚悟を決めておとなしく聞くことにした。すると、マッファルダを見ながらしゃべっていたが、わたしとマッファルダを交互に見ながら喋るようになった。彼女の地方訛りの話内容は、この地方の特徴や生活習慣などがおもで、親切心がにじみでていた。どうして私たちなのかはわからないが、きっと土地の者ではない空気が漂っていたのだろう。

彼女は地べたに座っている私たちを見下ろしながら、また、話はじめた。”ホラ、あそこの丘を越えたあの街(名前を言ったのだが忘れてしまった)に、わたしは住んでいるの。市で野菜を売っているから、もしよかったら、市においで。そしたら、また、会えるから。こんな事件(バスのこと)があったけど、アルデッシュは本当に美しくて良いところだから、これに懲りずにまた来てね。わたしは、歩いて帰るから、早足で歩けば30分ぐらいで着くし、、、じゃ、皆、元気でね!” 彼女は名残り惜しそうに手をふりふりテクテク歩き始めた。

40分後に迎えの車が2台やってきて目的地に向かった。目的地に近づけば近づくほど人家はまばらになり、最後はこんなのは道ともいえないような凸凹道がフランスにもあるんだとおどろいているうちに、平地になっているちょっと広いところで降ろされた。トランクを持ちながら狭い石段を降りると私たちの泊まる家が目の前にあった。それは、思っていた以上に素敵な家だった。

 

遅い夕食の後、私たちの講師Claireクレーが道場(ここではスタジオのことをこう呼ぶ)に案内してくれた。もう、夜の10時がまわっていて夜空に★が輝いていた。無数の大きなダイヤモンドのような星々、手を差し出せば届きそうな!こんな夜空を見たのは初めてだった。

夜空の写真はないが、泊まっているお家から3分ほどの道場への道のりの間の写真と、お家の中の写真をごらんください。